ヨーロッパを長く旅するときに、いちばん気をつけたいのが「シェンゲン協定」の滞在日数のルールです。日本のパスポートなら多くのヨーロッパの国にビザなしで入れますが、協定国の中で過ごせる日数には上限があります。
シェンゲン協定とは
シェンゲン協定は、ヨーロッパの国どうしで国境の検査をなくす取り決めです。協定国の中は、国境を越えても入国審査がなく、ひとつの地域として扱われます。2026年10月の時点で、協定国は次の29か国です。
アイスランド、イタリア、エストニア、オーストリア、オランダ、ギリシャ、クロアチア、スイス、スウェーデン、スペイン、スロバキア、スロベニア、チェコ、デンマーク、ドイツ、ノルウェー、ハンガリー、フィンランド、フランス、ブルガリア、ベルギー、ポーランド、ポルトガル、マルタ、ラトビア、リトアニア、リヒテンシュタイン、ルクセンブルク、ルーマニア
EU の国でも、アイルランドとキプロスは協定国ではありません。イギリスも協定国ではないので、それぞれの国のルールで入国します。
「どの180日間をとっても90日まで」
ビザなしで協定国に滞在できるのは、どの180日間をとっても、合計90日までです。「1回の入国で90日」ではなく、出たり入ったりした日数を合計して数えます。
- 協定国の中は、ひとつの地域として数えます。フランスに30日、イタリアに30日、スペインに30日いれば、合計90日です。
- 入国した日と出国した日も、それぞれ1日に数えます。
- 180日は、カレンダーの区切りではなく、1日ずつずれていく期間です。旅のどの日から180日さかのぼっても、そのあいだの滞在が90日以内である必要があります。
例:90日を使い切ったら
協定国に90日続けて滞在して出国したら、そこから90日ほどたつまでは、ビザなしで協定国に戻れません。いったん協定国の外(イギリス・トルコ・モロッコなど)で過ごし、日数に余裕ができてから戻る、という組み方がよく使われます。
例:出たり入ったりする旅
ヨーロッパに40日、トルコに20日、またヨーロッパに40日、という旅程なら、協定国の日数は合計80日で、上限の90日に収まります。協定国の外にいるあいだも180日の期間は進み続け、外に出たからといって日数がリセットされるわけではありません。いつの時点でも「その日までの180日間に、協定国に何日いたか」で数えます。
旅程で確かめる
協定国を何度も出入りする旅では、手で数えるのはたいへんです。SEKAI ROUTE は、旅程の中の協定国の日数を数えて、どの180日間でも90日を超えないかを「準備」タブで確かめ、超えるときはルートの画面でも知らせます。
入国のときに指紋と顔写真を登録する(EES)
協定国の外から来る短期の旅行者の出入国を、電子的に記録する「出入国システム(EES)」が、2025年10月から段階的に始まり、2026年4月10日からすべての外部国境で動いています。はじめて入るときに、国境で指紋と顔写真を登録します。これまでのパスポートへのスタンプのかわりに、この記録で滞在日数が数えられます。
ETIAS(欧州渡航情報認証制度)
ビザなしで協定国などに入る旅行者には、出発前にオンラインで申請する「ETIAS」が導入される予定です。EU は2026年の最終四半期(10〜12月)に運用を始めるとしていて、具体的な開始日は、始まる数か月前に発表されることになっています。始まってから最初の6か月ほどは移行期間とされています。
申請料は20ユーロ(18歳未満と70歳を超える人は無料)、認められると最長3年間有効になる予定です。出発前に、EU の公式サイトで最新の情報を確かめてください。
公式サイト:ETIAS(EU)
ほかに注意したいこと
- パスポートは、協定国を出る予定の日から3か月以上の残りがあり、10年以内に発行されたものが必要です。
- 国によっては、日本との取り決めにより、その国の中ではさらに長く滞在できる場合があります。使えるかどうか、どう数えるかは、その国の大使館などで確かめてください。
- モナコ・サンマリノ・バチカンは協定国ではありませんが、出入りに協定国を通るため、実際には協定国と同じように扱われます。
- このページは2026年10月時点の情報です。制度は変わることがあるので、外務省の海外安全ホームページや各国の大使館で、最新の情報を確かめてください。